2004/10/15

アメリカの双子の赤字

こんばんは。借金大王 大川総裁です (ウソ)。宿題の提出でなくて申し訳ありません。

毎日新聞 2004年10月14日
米大統領選:
カギ握る中間層向け政策で舌戦 TV討論


ケリーが言っている「クリントン政権で蓄えた財政黒字が、国民の所得上位1%向けの減税 (の財源) になってしまった」に関して、「国民の所得上位1%向けの減税」というのは正しいのかどうかは分かりませんが、
・財政黒字が赤字に転落
・大幅な減税が赤字の原因
というのはあたっているようですね。プレジデント誌の記事
「第二のプラザ合意」が招く世界経済の混乱
にいろいろ分析が載っています。

この中で気になるのが軍事費。クリントン政権の時は、冷戦が終わって軍事費を削減することができ、それがアメリカの財政赤字消滅の大きな原因だったのだが、現在は対GDP3%あたりで下げ止まりだそうです (これ以上減らせない)。9.11以降でもあまり増えていない。

これは何を意味するかというと、どちらが大統領になっても軍事費の削減で財政赤字を解消することはできないということです。とすると、好況による税収入自然増か、増税のどちらかが必要になります。これまでの減税は景気浮揚策だと思いますが、それで景気がよくなった感じもなく、事実税収は減りつづけています。増税で歳入を増やすのは難しいですね。増税してもそれで景気が悪くなる可能性も高いですし。

[追記: 04会計年度の財政赤字が発表になりました (別に赤字が発表のテーマではないと思いますが)。
毎日新聞 2004年10月15日
米財政赤字:
04会計年度、過去最大の4125億ドル 世界経済に懸念材料
]

双子の赤字のもうひとつのほう、貿易収支も赤字が拡大しています。
毎日新聞 2004年10月14日
米貿易赤字:
過去2番目の540億ドル 原油高で増加


プレジデントに戻ります。貿易収支が赤字ということは、資本が流入し続けている (借りている) ということで、不安定要因としています。ドルは機軸通貨なのですぐに暴落ということにはならないですが、その可能性が高まっていくということですね。

アメリカ大統領選挙のTV討論会では、どちらが減税するか、自分の収入レベルにとってはどちらが減税になるかが争点になっているように見えます。しかし、どちらも経済の破綻を解決するような方策があるように見えません。もっと大きな見地から見たほうが良いのではないでしょうか。でもそれじゃアメリカ国民に受けないのか。

2 件のコメント:

yodaway2 さんのコメント...

プレジデントへのリンク、早速飛んでみました。以前にもびっくりしましたけれど、ほんとうにいろいろな情報、資料を猟歩なさっていて、参考になります。米大統領選挙ですが、テレビ3回目の討論を終えて、討論自体はケリー氏の勝ち——の評価のようですが、結局、選挙のゆくえは混沌としたままです。いずれの候補者が勝っても、米国が超・軍事大国であり、世界の覇権国であることを、自ら変更を試みることはあり得ませんし、また、日本もその力を利用しようとしています。フクザツな気持ちでいます。

yoshihiroueda さんのコメント...

★yodaway2さん、こちらにもコメント頂いていたんですね。「いろいろな情報、資料を」とおっしゃいますが、私の方からはyodaway2さんいろいろ調べられていると感じていますので、ただ重なっていないところがあるというだけだと思います。とはいえ、ブログ書き出してから雑誌や本を買う頻度が増えました。皆さんが紹介してくれるから興味がでてきたというところもあるし、自分のブログを書くのに必要と言う側面もあります。そういう意味でもブログは自分のためになっていると思います。米国の件、どちらが勝っても、...という点はおっしゃる通りです。そろそろ宿題リストにあげている「同じ穴のムジナ」を書こうと思います。